波乱万丈のヒューマンの歴史は数多くの英雄を誕生させた。リネージュ2
RMTすべての出来事を客観的に記録しなけ ればならない歴史家も、やはりヒューマンであるため、多くの英雄たちの中でもある者には惚れ込み、またある者には唾を吐くこともある。私は悠久に流れるエルモアデンの歴史の中で、歴史家たちから最も過ぎたる評価を得ている者はジグハルト アインであると見ている。貴族の令息として生まれ、幼少の頃から秀でた才能を発揮した彼は、それゆえ、その才能を妬む政敵の手により陥れられ、遂には身一つで追いやられることになる。復讐心に燃えた彼は、ひと時身を置いていた騎士団と同じ名前の黄金羊の傭兵団を結成し、大陸を思いのままに駆け巡った。ここまではほぼ大多数の歴史家の意見が一致する。見解が分かれるのはこの後の出来事だ。ある者は、彼をヒューマン最高の境地に達した英雄、バイウムを超える功を成しえた者だと賛辞を惜しまず、またある者は、彼を自分の復讐のためだけにエルモアデン全体を悪魔の脅威に陥れた極悪非道な者だと罵倒する。だが彼もやはりグランカインの哀れな創造物に過ぎない。ジグハルトが作った多くの敵たちは、彼を追い越すために自分自身を鍛錬した。結果的に、彼はエルモアデンに多くの英雄を誕生させることとなった。チェス盤の中で何が起ころうと、チェス盤の外から見れば、キングもやはり、ただの駒に過ぎないのだ。カイン ヴァン ホルターもやはり、年代記における重要な人物の１人である。ルウン城の領主の私生児として生まれ、彼には英雄となる機会など与えられていないようにも思えた。彼はジグハルトのように野心に駆られた人物でもなく、エリック ラムスハートのように使命感に燃えた正義の聖騎士でもなかった。しかし、まさにそれゆえに、同じ時代に生きた人々からエリック ラムスハートと同じくらい愛されたのかも知れない。彼の願いはただ一つ。彼が愛した者の幸せだった。たった一人の幸せのために、エルモアデン全域で孤独な戦いを繰り広げた彼を、歴史は記憶しつづけるだろう。
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